【読書感想文】川野泰周『「精神科医の禅僧」が教える 心と身体の正しい休め方』
今回は川野泰周さんの著作『「精神科医の禅僧」が教える 心と身体の正しい休め方』についての読書感想文です。
休日を終えても「なんとなく心が晴れない、体がだるい」と思っている方におすすめできます!
『心と身体の正しい休め方』書籍情報
出版年 | 2018年9月26日 |
ジャンル | 自己啓発・医学 |
著者 | 川野泰周 |
『心と身体の正しい休め方』を手に取った理由
この本はKindle Unlimitedのおすすめで出てきたので読んでみました。
惹かれた理由は、個々最近の暮らしの中で「うまく休めていない」という自覚があったからです。
休みの日に好きなことをとことんやってもなんとなく気分が晴れない、夜にはぐったりしている……。その理由と解決策を知りたかったんですよね。
おなじ思いの社会人の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
『心と身体の正しい休め方』で最も響いた部分
この本には「なぜ心と身体を上手に休められなくなっているのか」とその具体例、そして上手に心と身体を休めるための様々なヒントが記載されています。
その中でも私に特に響いた具体例1つと、ヒント1つを抜粋してご紹介します。
①人の死・喪失感と向き合う時間の大切さ
大切な人、自分に近しい人が亡くなったときというのは、やはりしっかりと喪に服す期間が必要です。喪に服すということは、単に儀式的な意味合いを持つだけでなく、大切な人、愛する人の死という事実をありのままに受容し、再び明日からの人生に向けて歩き出すために必須の時間でもあるからです。そのことができなくなっている最大の要因は、現代日本人の忙しさにあります。葬儀の準備やその後の手続き、いろんな人へのごあいさつなどに追われ、忙しい日々を過ごしたあと、すぐに仕事や日常生活に戻ってしまうと、自分の内側に注意を向ける余裕がまったくないまま時間を過ごしてしまいます。自分では平気なつもりでいても、その奥底で生まれた感情そのものが消滅するわけではありません。
川野泰周『「精神科医の禅僧」が教える 心と身体の正しい休め方』P.31-32
この箇所が印象に残ったのは、自分自身内向型という自覚があるからです。
好きな人と関わるのは好きですが、それでも1人で自分に向き合う時間は絶対に必要。ましてやそれが大切な人の死の後ならなおさら。
また、その時間を確実に取れるようにしたいというのは、私が会社員生活を脱したい理由の一つでもあります。
以前別記事では「出社が嫌」という理由を挙げました。
しかしもっと深堀りしてみると、「出社に使う時間を大切な人と向き合う時間にして、増やしていきたい」というところにたどり着きます。
この想いを持つようになったのは、母方の祖父が亡くなったことがきっかけでした。
お葬式に参列するにあたって会社を休むため、猛スピードで仕事をこなし、周囲に謝り倒して業務引き継いでもらったのです。
幸い今の部署の人たちは優しくて仕事も配慮していただけましたが、これがずっと続くわけではありません。
何より「仕事にいずれ戻らなくては」と思うことで、ゆっくりじっくり喪失感と向き合えなくなってしまいます。
ですので、「もっと自分自身と、大切な人と向き合う時間が確実にほしい」と思っている私に、この一節はよく響きました。
②日常から離れて、1人だけの時間を作る
「一人の時間」「自分のためだけの時間」というのは、日常の連続性をいったん遮断し、気持ちや身体をリセットし、切り替えることができるという意味でもとても貴重です。本当に忙しい人なら、週に一度、 1時間でもいいから一人でカフェに行き、ゆっくりとコーヒーを飲む。そんな時間をつくることをおすすめします。まさに、「ごほうびタイム」です。どこで、どんな過ごし方をするかは本人の自由。(中略)そういう時間を意識的に確保して、ていねいに過ごすだけでも、リフレッシュ効果は違ってきます。
川野泰周『「精神科医の禅僧」が教える 心と身体の正しい休め方』P.146
私自身が今まで思ってきた「自分の時間」の定義が変わった一文です。
私は時間ができるとYouTubeで動画を見まくっていました。
しかし、それは日常の連続の中にある行為なので、実は「自分の時間」ではありませんでした。
そもそもYouTubeで動画を流し見すること自体、「ネットサーフィン(意志を持って見る)」ではなく、「ネットドリフティング(意志なく漂流している)」状態。
これは本文で川野さんが定義しておられます。現代においてスマホで多く行われているのは「ネットサーフィン」ではなく「ネットドリフティング」だそうです。
ネットドリフティングをすれば、内側の感覚や感情への注意がおろそかになって、余計に疲れるだけ。
そうした仕組みからは距離をおいて、自分自身と静かに向き合うことが重要だとわかりました。
『心と身体の正しい休め方』を読み終えた感想
この本を読むまで、私は心身を休めるためには「自分が好きだと思うことをとことんやる」ことが必要だと思っていました。
しかし、本当に必要なのは「マインドフルネス」と「やりたいことを自分の意思でやること」でした。
「自分が好きだと思うことをとことんやる」は、「やりたいことを自分の意思でやること」と似て非なるものです。
「マインドフルネス」とは「シングルタスクの練習」のこと。
何かをしていても別の何かを気にしてしまうことは人間として当たり前です。だからこそ、頭をすっきりリフレッシュさせるために、マインドフルネスを身につけるべきです。
「やりたいことをやる」というのは、些細なことでも構いません。
1分の深呼吸でも構わないから能動的に行動すること。ネットサーフィンではなく、「5分これをやる」と決めて実行することが大事なのです。
丁寧に、ゆっくり、集中して物事に取り組むのが禅の教えで、マインドフルネスの基本。
私が目指す、お嬢様らしい立ち居振る舞いもそれに近しいものがあると感じます。
つまり、お嬢様らしくあろうとするのは、まさしくマインドフルネスなのかもしれませんね。
おわりに
この本は、なんとなく疲れが溜まっている、生産性が下がってると感じている人におすすめです。
現代はたくさんの「あれをやってみたい、これをしたい、それをやらなきゃ」に振り回されがちな時代です。
そんな時代にこの本は、今疲れてなくても「叶えたい目標がある」人にも、目標達成までくじけず頑張るためのライフハックになるでしょう。